1. 宮崎駿×黒澤明 夢の対談が実現していた!日本を代表する監督2人の映画に対する強い思い

宮崎駿×黒澤明 夢の対談が実現していた!日本を代表する監督2人の映画に対する強い思い

今から20年前、日本映画界の巨匠、黒澤明とアニメーション映画において日本を代表する宮崎の対談が行われた。

宮崎「ストレスはかえってなくならない方がいいんです」

宮崎:
フィルムについてよく聞かれるが、映画に出ているものがすべて。

黒澤:
言いたいことは映画に出している。

黒澤:
編集がちゃんとできるまで何度も見るからもう見たくないね。

宮崎:
実写でうらやましいのは終わった日のお酒がうまいんだろうな。

黒澤:
ロケだとその場所でわいわい飲むんですよ。

宮崎:
アニメーションだとその日の酒はうまくないんですよ。お酒が飲めるのは終わった時と始まった時2回ですね。あとはずっと船のオールを漕いでいる感じです。

黒澤:
手塚君もそんなこと言ってましたね。

宮崎:
ストレスをなくすとかえってだめなんです。緊張感を保たないといけないから。

黒澤「楽しんでやっていると映画の顔つきが違うんです」

黒澤:
現場で楽しく仕事をしているでしょう。楽しんで仕事をしていると映画の顔つきが違うんですよ。不機嫌な状態で映画を撮っていると嫌な顔になるよって。これが必要ですね。変にもめた状態で撮っている写真、僕はないけど他のそういう写真を見ていると写真自体どうも楽しくないね。変な顔つきになっていますよ。

宮崎:
笑顔が多いアニメーションだとみんな描きながら笑っているんですよ。自分で表情を作りますから。深刻なアニメを作るとみんな深刻な顔つきになるので、スタジオに入るとなんだか淀んでいるんですよ。くらいものがどーっと。僕らの仕事は机にかじりつくものですから。

黒澤:
それをいうとロケーションに行くのは肉体労働ですから、健康にはいいでしょうね。

川の表面の反射にもこだわる黒澤映画

宮崎:
「夢」のラストのところで川のところ。いい場所ですよね。

黒澤:
あの場所かなり探して安曇野で見つけたんですけどね。ただ、水が澄んでいて藻が見えたりするためには、川の表面に空が映っちゃだめなんですよ。だからクレーンで暗幕を上から掛けて撮るから何してるんだと人は思うでしょうね。緑でも青空だと青が勝って変な色になっちゃう。だからきれいな緑を出すにはかなりフィルターをかけていますね。今のカラーフィルムだと緑が出過ぎちゃうんです。

宮崎:
ちょっと昔の日本を作ろうとするとすごくお金がかかるようになっちゃったなと思いましてね。

黒澤:
お金かかりますよ。

宮崎:
町を撮った時に、日本のただずまいがなくなってしまった。

黒澤:
戦国時代の町は苦労した。鍛冶屋はあったよなって言って。でも江戸の物売りじゃないよな。この音戦国時代みたいでいいねと思って鉄管を引きずってみたんです。

宮崎:
環境音は一番難しいですね。

黒澤:
「七人の侍」なんかたくさん切られて死ぬでしょう。人間が「ギャー」って言っても人間っぽくならない。だから自分で文字を書くんです。

宮崎:
外国舞台のアニメーション で町が出て来ると本当に困っちゃう。外国の町の石畳に古い時代の車が走っているともうだめですね。これで間に合うかなと持ってくると「あっこれ東京だ」ってばれちゃうんです。

黒澤:
音を入れる専門家、三縄くんというのがいるんですが、雨ひとつにしてもすごく細かく変えてくれるんです。縁の下の力持ちというか。アフレコする場合も現場の音は持って来て、それを聞かせながらアフレコをさせるんです。そうじゃないとその時の感じを忘れちゃうからね。

宮崎:
すごいなあ。やはり、アニメだと仕上げ段階で手をかけられないんですよね。絵を描くだけで精一杯になっちゃう。

黒澤:
アメリカだと1年近く編集とかに時間をかけてますからね。

日照り雨」「桃畑」「雪あらし」「トンネル」「鴉」「赤冨士」「鬼哭」「水車のある村」の8話から なるオムニバス形式。黒澤明自身が見たを元にしている。各エピソードの前に、「 こんなを見た」という文字が表示されるが、これは夏目漱石の『十夜』における各 挿話の ...

俳優にいかにカメラを意識させないかが大事

黒澤:
僕はレンズの使い方が特別なんでね。例えば「まあだだよ」。全体を撮っているカメラがありますよね。それからある部分を撮っているカメラがある。そのカメラが一番遠い。クローズアップっていうとだいたいどの人もカメラがよっていくんだけど、僕の場合はどんどん遠くなっていくの。だから、意識しないんです、俳優さんが。近くまでカメラが来るとやはり意識してしまう。俳優さんは気にしている場合じゃないんです。そういうところに追い込んでいかないと。

黒澤:
たとえば話をしているでしょ。相手の話を聞いてなきゃだめだよ、自分の台詞を待ってちゃだめだよ。相手の話を聞いているから自分の台詞が出てくるんだよって。僕の映画に多く出ている俳優さんは分かっているんですけど、そうじゃない俳優さんが多いんですよ。

黒澤:
僕は話をしているところを撮る時に2人とも撮るんですよ。そうすると、話をしているものと相手の話を聞いている2つのフィルムができる。で、あとから見た時に面白いのって聞いている方を撮っているフィルムなんです。その表情が出ているんです。できてないやつには見せるんです。これが映画の基本ですよ。

黒沢清監督は「黒澤明では『まあだだよ』が好き。あっこ(あそこ)まで行ったら最早凄い よね」と語っている。 この作品にからめて黒澤は周囲に対し、「これが最後の作品です かね?」「まあだだよ」などと冗談をいっていたという。 香川京子の演技があまりに見事 だっ ...

宮崎「 映画が終わるとその世界観が自分の中で本物になっているんです」

宮崎:
(黒澤さんの絵コンテを見て)まずびっくりしたんです。大変な労力ですよね。

黒澤:
そうでもないですよ。ひょいひょいと描いているわけですから。

宮崎:
漫画で世界を作っているわけですが、その映画を作ってしまってその映画から離れますと、自分の頭にあるキャラは漫画じゃなくて生身の人間になっちゃうんです。背景を絵で描いてきたはずなのに、本当にその世界があるような錯覚に陥るんです。

黒澤:
それは同じです。現場では本名は呼ばせないんです。先生は先生、奥さんは奥さん。その人物として記憶に残っています。で、映画が終わるとその人物と二度と会うことがないんです。 そういう人と付き合って来たという思いが残る。そうすると本当にいろんな人とつきあってきたなと。で、その人とは二度と会えない。もう会えないんだと不思議に感じる。

黒澤「つまんなくてもやっているうちに楽しくなってくるよ」

宮崎:
実写って楽しそうですね。

黒澤:
楽しいですよ。明日撮影があるというと早く行きたくてね。僕はよくこんなことを言っているんです。つまんないことでもやっているうちに面白くなるよって。やっているうちに努力しちゃうんだよ。楽しくて。打ち込んでいるとささいなことでも楽しくなっちゃうんですよ。もういいよって言ってもちょっと待ってくださいって。だから徹底的にやるかやらないかだね。みんな本当に楽しそうにやってますよ。

時代劇の難しさの表現の難しさ

宮崎:
映画の扱う時代に幅が狭くなりましたね。

黒澤:
第一、その時代を撮ろうと思ったらロケーションに困っちゃうんですよね。今はすごい変わっちゃってる。当時の洋服は衣装屋にあるんですよ。でもどれも着れない。みんな大きくなっちゃって。でも桶狭間の鎧を見るとすごく大きいですね。徳川300年で体格がすごく悪くなってるんですよ。そんなに変わるとは思わなかったけど。だから古い記事を探して仕立てたからすごい大変だった。

宮崎:
自分にとっての時代劇はその 周りをぐるぐる回っているだけで一向 に近づけないんです。次回作を聞かれるたびに時代劇って言っているんですけどね。もう10年以上前から言ってるんです(笑)。

宮崎:
「七人の侍」の時も、そもそも「ある侍の一日を描いてみよう」って言ってたんですよ。朝起きて、何を食べて、どこでどういうことをしてと言う細かいことが分からないから描きようがないんですよ。で、逆に昔のことの方が分かるのに江戸時代がかえって分からない。そのうち調べてたらある村が襲撃を防ぐために侍を雇ってその村だけが襲撃空助かったっていうのが出ていたんです。これをやろうよってなりました。自由に想像して。本当にわずかな記事だったんです。「七人の侍」って描いて「これいいや!」ってなって。

最後に

宮崎:
大作と言えるものも小品と言えるものも、同じように現場で考えて変更してやっていると言うのが何となく分かったような気がします。世間が思っている黒澤監督のイメージ、「ううーん」と座ってやっているというのが僕は間違っていると思います。世間がいろいろ言っても俺の思う通りに生きるぞ、ということ。そしてそれをちゃんとやるということが大事だということを、黒澤監督は全身で言っているんじゃないかと思います。

2009年10月26日 ... Subscribe 205. Top Comments. あら ら 2 years ago. 虎屋のようかんだ. Reply · 21. mmmoroi 2 years ago. これはすごい! ウォルトディズニーとスティーブンスピルバーグ が. 対談しているようなもんだよな. 冗談いっちゃいけない。遙かに ...

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